こんにちは。ヨウヘイ(プロフィール)です。
今回は普段あまり語られることのない「リトアニアの教育事業」についてお話したいと思います。現在リトアニアへもたくさんの日本学生が留学にやってきていますが、日本とリトアニアの大学に対する状況や考え方はどのように異なるか考えてみたいと思います。
目次
OECD加盟国が高等教育について言及
2018年9月、ベトナムのハノイで行われた「ASEANに関する世界経済フォーラム」の中で、高等教育を受けた人の割合について言及される部分がありました。そしてOECD加盟国のうち高等教育を受けた人(25歳〜34歳)の割合でリトアニアが第4位の高水準であるということが発表されています(日本は3位)。
【経済協力開発機構(OECD)の教育分野における活動】
教育の分野におけるOECDの事業活動の大きな目的は、共通の経済・社会的基盤を有する先進諸国が連携・協力して、国際的な調査・研究及び、比較分析を行うとともに、これを広く公表し、各国における教育改革の推進と教育水準の向上に寄与することです。
国際的に見た高等教育とは?
今回、指標となった「高等教育」とは、一般的に「第3期の教育」と呼ばれるもので、日本で言えば中学校や高校を卒業した人が更に深い知識を求めて進学する「大学」や「専門学校」等のことを指します。なお、第3期の教育区分は国際標準教育分類(ISCED)では、レベル5の教育レベルに指定されていて、レベル6に次いで最高水準のレベルとなっています。
さらに数値を詳しく見てみると、リトアニアは25~34歳の年齢層では約55%が高等教育を受けており、日本は60%と両国にそれほど大きな違いがないことが分かりました。なお、OECD加盟国の中でトップ水準だったのは、韓国の69.6%でした。
今回この発表を聞いて注目したのは、55歳~64歳の年齢層で見た場合、日本は3位(39%)と若年層と同水準の結果に対して、リトアニアは上位10位(30%)にも入っていないということです。
つまりリトアニアではこの30年間で国の教育水準、教育に対する国の体制などが大きく変化してきた可能性があるということが推測できます。
日本とリトアニアの高等教育について
若年層での部門で3位となった日本ですが、公的機関から教育機関への支出は全体の34%とOECD平均の70%を大きく下回った上、各家庭の収益のうち学費の占める割合は51%とOECD平均の約2倍と発表されました。
つまり、国から教育への資金投入は世界水準の約半分で、家庭の支出割合は2倍以上あるということで、各家庭が高等教育を受けるために大きな支出をしていることが推測できます。
次に第4位リトアニアのですが、過去15年間で様々な教育改革を行ってきた結果と言われており、旧ソ連時代の教育を大きく転換してきた結果だと言われています。
代表的なものとしては、2000年に始まった教育制度改革や2006年に導入されたボローニャプロセスが関係しているものと言われています。
高等教育における学位認定の質と水準を国が違っても同レベルのものとして扱うことができるように整備するのを目的として、ヨーロッパ諸国の間で実施された一連の行政会合および合意のことである。ボローニャ協定、およびリスボン認証条約により、このプロセスはヨーロッパ高等教育圏を作り出すことになった。名称は提案された地名であるボローニャ大学にちなんでいる。ヨーロッパ統合のための施策の一部をなすものとして、1999年に29のヨーロッパ諸国の教育相により、ボローニャ宣言への調印が行われた。(Wikipediaより)
まとめ
今回は、あまり目にする機会の少ないリトアニアの高等教育事情について調べてみましたが、過去数十年の変化を合わせて考えてみると、また違った一面が見えてくるように感じました。
アメリカやドイツなどは高齢層と若年層の差がほとんど無く、近年成長を遂げている国は若年層が教育を受ける人が増加する傾向にあったのも興味深い点でした。
日本も戦後に比べ、多くの人が教育を受けるような時代を経て経済成長してきましたが、リトアニアのように1990年代、新たに自国の自治権を復権した国が成長を遂げているという点を再認識させてくれるデータだったように感じます。
年齢構成で見る割合もそうですが、男女比率などで見てもまた国によっての違いなどが見え、興味深い部分があるので、今後も注視していきたいと思います。
https://data.oecd.org/eduatt/population-with-tertiary-education.htm#indicator-chart
データ元:OECD.org
データ元:World Economic Forum